「新たな教師の学び」のためのオンライン研修コンテンツ
令和4年度の教育公務員特例法の改正により、令和5年4月から、各教師の研修履歴を記録するとともに、この記録に基づき、教師の資質向上に関する指導助言等を行う仕組みが制度化されました。この新たな制度を推進するため、文部科学省では新たに研修受講履歴記録システム及び教員研修プラットフォームを一体的に構築し、教師が合理的かつ効率的に研修を受講・記録できる環境整備を進めています。この新たな制度の下で、教師の個別最適な学び、協働的な学びを実現するためには、プラットフォームと連携した多様で質の高い研修コンテンツを教育委員会や各教師等のニーズに合わせて充実させることが不可欠です。以上をふまえ、プラットフォームに掲載する動画コンテンツの開発に教員講習開発事業費等補助金の公募があり、本学は、文部科学省の『「新たな教師の学び」に対応したオンライン研修コンテンツ開発事業』に採択されました。
本学は、喫緊の教育課題に対応するために4つの研修コンテンツを開発・提供し、教師の資質向上に寄与できるよう取り組んでまいります。
なお、本HPに掲載したオンライン研修コンテンツの視聴が文部科学省が展開している「全国教員研修プラットフォーム『Plant』」とリンクしておりませんので、ご注意ください。
日本で子どもの人口が減少する中、「発達障害」と呼ばれる子どもは増え続けている。2006年に発達障害の児童数は7000人余りだったが、2019年には7万人を超えた。普通学級にも、発達に問題のある児童・生徒が多くみられるようになり、幼保・小・中・高等学校現場では、担当される先生方が大変苦労を強いられているという現状がある。 発達に問題のある児童・生徒の中には、音や音楽に過敏で、極端に嫌がる子どもも見受けられるが、音や音楽だからこそ自己を表現できるようになるという子どもも多く存在することは、これまでの臨床経験から実証されている。発達に問題があることで、対象の児童・生徒たちは家庭で、学校で、地域で生きづらさを感じている現状があるが、環境・学校・担任の働きかけ次第によって、対象の児童・生徒たちは少しだけ生きやすくなったり、コミュニケーション能力を伸ばしたりすることが可能である。
本オンライン研修を通じて、教師が教育現場で、「音楽療法」の視野を通じて、発達に障害のある児童・生徒にどのような指導・支援をすれば有効であるかを解説していきたい。音や音楽を通して、子どもの指導・支援にあたっている教員の資質・能力をより高めることは非常に重要であり、その整備は喫緊の課題であると考えられる。
①音や音楽とは?
日常、私たちが感じている音や音楽について再考してみる。
②発達に問題のある子と音楽
発達に問題がある子どもが、音や音楽にどのような反応をするか、事例を通して解説する。
③音や音楽によって自己を表現できるようになるということ(1)
発達に問題がある子どもが、音や音楽だからこそ自己を表現できるようになった事例を通して解説する。
③音や音楽によって自己を表現できるようになるということ(2)
発達に問題がある子どもが、音や音楽だからこそ自己を表現できるようになった事例を通して解説する。
④音や音楽によって生きやすくなるということ
自己を表現できるようになったことで、発達に問題のある児童・生徒が、いかに生きやすくなったかを事例を通して解説する。
特定分野に特異な才能を有する子どもは、知的能力に優れているといった面もあるが、同時に「同級生と会話が合わず、友だちができない」「学校の勉強がつまらなくて、教室で授業を受けるのが苦しい」「自分の中の得意と不得意の差が大きすぎてコントロールが難しい」などの困難を抱えていることが多い。人口全体の2~3%、1学級に1名程度いるといわれるが、明確な診断名等ではないこともあり、認知度は低く、孤独・孤立状態に陥りやすいのが現状である。不登校になっていたり、誰にも理解してもらえないと感じ、極端に自己肯定感が下がっていたりするケースも多くみられる。特定分野に特異な才能を有する、というのは困難を抱えていなさそうであったり、特別な学習が必要であったりと考えられ、支援がなされにくいという側面を有している。しかし、実際には子どもの話を聞く、宿題のあり方を少し変更するといった小さな工夫でも子どもの生きやすさは大きく改善する。
こうしたことを踏まえれば、本オンライン研修を通じて特定分野に特異な才能を有する子どもの指導・支援にあたっている教員の資質・能力を向上することは非常に重要であり、その整備は喫緊の課題であると考えられる。
①特異な才能を有する子どもを取り巻く状況
専門家会議で示された特異な才能の定義や説明、事例などをもとに、どのような子どもたちが特異な才能を有する子どもとみなされるのか、教育制度も含めて解説する。
②2Eの子どもたちへの支援方策
特異な才能を有しつつも発達障害を有する2Eの子どもたちへの支援方策について、特にワーキングメモリーの観点から解説する。
③特異な才能を有することもの特性と向き合い方
特異な才能を有する子どもたちに特に学校現場でどのように向き合っていけばよいのか、医学、認知心理学の観点から解説する。
④ICTを活用した特異な才能を有する子どもたちへの教育(1)
GIGAスクール構想を踏まえ、一人一台端末を活用することで可能になる個別最適な学びについて、具体的事例をもとに解説する。
⑤ICTを活用した特異な才能を有する子どもたちへの教育(2)
GIGAスクール構想を踏まえ、一人一台端末を活用することで可能になる個別最適な学びについて、メタバース空間を活用した事例をもとに解説する。
⑥発達段階に応じた特異な才能を有する子どもたちへの指導・支援(1)
特異な才能を有する子どもたちへの指導・支援について、特に幼児期の支援に注目し、解説する。
⑦発達段階に応じた特異な才能を有する子どもたちへの指導・支援(2)
特異な才能を有する子どもたちへの指導・支援について、特に学齢期の支援に注目し、解説する。
⑧特異な才能を有する子どもと保護者(1)
特異な才能を有する子どもをもつ保護者が直面する課題について解説する。
⑨特異な才能を有する子どもと保護者(2)
特異な才能を有する子どもをもつ保護者に対する教職員としての支援方策について解説する。
視覚障害を持つ子どもたちは運動する機会が減り、運動スキルの発達が遅れる傾向にある。しかし、視覚障害者のスキル学習に介入することでスキルの改善が見られることが報告されており、できるだけ早期に介入することで運動スキル発達の遅れをなくすことも可能である。視覚障害を持つ子どもたちが生涯にわたってスポーツに参加できるようにさせるためには、運動発達のへの理解やそのアプローチ方法に関する知識を得ることが重要である。性別や年齢、体力、スポーツ経験の有無に関わらず誰でも気軽に参加して楽しむことができるよう、ルールや用具を工夫し適合する、アダプテッドスポーツがある。近年ではアダプテッドスポーツの一つとして、視覚障害者と様々な人が一緒にできるような「ブラインドサッカー」が開発されており、ブラインドサッカーのクラブチームも現在30チームが存在する。このようなブラインドサッカーは視覚障害者が運動スキルの発達する場として、最適であり、また様々な人たちとの交流の場となると考えられる。しかしながら、このようなアダプテッドスポーツは歴史が浅いためまだ普及しておらず、特別支援に係る教員への理解が必要となる。
①身体運動における視覚情報の役割
人間にとって、視覚情報が運動をする際にどのような役割を持っているのかについて科学的な研究を紹介し、視覚情報の有無によってどのように身体運動が変化するのかを解説する。
②視覚障害者における運動スキルの発達
視覚障害を持つ子どもの運動スキルがどのように発達するのかを説明し、どのように視覚障害者の運動に介入することがよいのかを解説する。
③視覚障害者の運動の有能感について
視覚障害者は運動能力に自信を持ちにくいとされているが、その実際と運動有能感を高めていく方法について解説する。
④アダプテッドスポーツとしてのブラインドサッカーの役割
障がいの有無に関わらず、様々な人が一緒に取り組めるアダプテッドスポーツについて紹介し、特に視覚障害者のために開発されたブラインドサッカーについて解説する。
⑤ブラインドサッカーの歴史やルール>
ブラインドサッカーの歴史やルールを説明し、視覚障害者でも取り組める運動形式になっていることを解説する。
⑥ブラインドサッカーの練習方法や留意点
ブラインドサッカーで上達するための練習方法や練習のために必要な器具を紹介する。また、危機回避などのブラインドサッカーを行う際に留意すべき点を解説する。